マイブーム・薪ストーブ編

上代成城病院 杉之原 賢治

 私には読書と散歩という趣味以外に、サッカー・スキー・アルコール・パソコン・ドライブ・温泉・星空観望・薪ストーブといったマイブームがあります。熊本市医師会『森都医報』の2023年3月号に最初の3つが載りましたので、ここでは薪ストーブを紹介します。
 阿蘇ほど寒くない熊本市内で薪ストーブはあまり聞きませんが、炎のゆらめきを見たいと情報収集し設置はプロに依頼、導入してから8シーズンが過ぎました。私が理解している薪ストーブの種類や特徴、注意点を列挙すると、まず材質で『鋳物製』と『鋼板製』の2つに大別されます。『鋳物製』は蓄熱効果が高く、凝った飾りも可能なクラシックなデザインで、多くの人が薪ストーブと認識しているものだと思います。一方『鋼板製』は造作が容易なため洋風インテリアに溶け込むスタイリッシュなデザインが可能で、すぐに暖まる特徴があります。国産品もありますが北米と北欧が2大産地で、ストーブの大きさや燃焼効率といった性能は、設置場所の空間サイズと機密性で決まると思います。また安全対策は非常に重要で、設置場所周囲の壁と床の防火対策及び、2重構造の煙突は必須です。更に街なかの住環境では、焚き火と同じ匂いが周囲に広がり、近隣住人とのトラブルを避けるために、また煙道=煙突火災の危険を減らすためにも、大量の煤が発生する不完全燃焼による黒々とした煙を出さないことが肝要です。不完全燃焼を避けるには、薪の種類・乾燥度合い・薪の積み方・空気量調整などに気を配る必要があります。
 私が選んだストーブは、デンマークSCAN社の鋳物製シンプル構造のクラシックタイプで、前面の扉が開き前方から薪を投入する方式です。薪ストーブを数年使って実感したのは、不完全燃焼が起きやすい焚き始めが最も重要で、短時間で庫内温度が上昇するようにジャンジャン燃やすことに尽きると思います。具体的には、①外気温が度以上の時は着火しない、②調理中なら換気扇の風量を下げ、窓を開けて外気を取り込む、③薪は最も乾燥しているものを選ぶ、④空気が通り抜けるよう薪を積む、⑤空気調整口は全開にする、などでしょうか。また着火の次に薪の確保も重要です。体力・怪我の危険を考えて、自分で薪作りするのは初めから断念し、全て購入することを選択しました。火もちのよい広葉樹と燃えやすい針葉樹を大量に、他に焚き付け材が少々ですが、1シーズン中2回に分けて配送してもらいます。総重量1・5t、総体積4・5立方メートルほどの量になりますが、3年ほど前から一店舗からだけでは確保が困難になってきました。以前より需要が増加した印象で、寒くなる前に早期注文する必要性を感じています。
 寒い熊本の夜、柔らかい遠赤外線効果で体を芯から暖め、空気の微調節でゆらめく炎と色の変化で心にゆとりと安らぎをもたらしてくれる薪ストーブですので、これからも大切に使い続けたいと思っています。皆様も薪ストーブライフを楽しんでみてはいかがでしょうか。

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