わたしたちの訪問診療は?~生き生きとしたくらしを支える~
熊本託麻台リハビリテーション病院 平田 好文
実は、わたしは、理事長なので勤務医ではありません。当初は、勤務医だったのですが、途中で理事長を引き継いだので勤務医でなくなりました。創始者でも、その家族でもないので、心は勤務医と管理者が混在していて、複雑です。あくまで立場は、管理者ですので、経営の責任は、わたしにあります。でも、勤務医の立場で今日は、わたしの日常をお話しします。
わたしは、リハビリテーション科と脳神経外科の二つの専門医を持っています。もう手術はしておらず、もっぱら訪問診療に時間を割いています。リハ科をする以上は、退院した患者さんが、どんな暮らしをしているのか、生き生きと生活しているのかを自分の目で確かめたかったからです。私たちの訪問診療の視点は、ここにあります。患者さんが退院して、生活の場で生き生きと暮らしているのか、生活の再構築は、できているのかが、大きなテーマです。訪問診療をしていて、感じるのは生活の質が大きく、二つに分かれるということです。デイサービスだけに行ってあと自宅で何もしない人達と、ケアプランだけでなく、自分で積極的にできることを計画して生き生きと生活している人達です。そこで、私たちは、入院中に生活の再構築プランを患者さんと作成して退院後、その生活が実行できているかを、訪問診療、看護、リハなどがサポートしてあげる作戦を試みているところです。退院後に訪問リハ、通所リハ、外来リハのリハビリテーションを継続すると、退院後6か月では退院時よりADL・IADLは向上し、リハを継続しないとADL・IADLは、低下したという報告がでています。皆さんの施設の退院後リハビリの継続率は、何%ですか?当院の退院後リハの継続率は、%~%にやっと上がってきました。2年前は、%台だったのを考えると成長しており、大きな進化です。コロナ禍で、家族、ケアマネの皆さんが、患者さんに、なかなか会えずにケアプランを作成して退院してから、さあ生活してくださいというのも至難の業と言えるでしょう。私たち回復期リハビリテーションの役割は、コロナ禍で以前よりさらに重大になったと言えるでしょう。在宅を支えるためには、回復期リハビリテーション病棟から退院してその後の生き生きとした生活を支えるための連動したシステムが求められています。